芳香族アミンを網羅的に解説!

芳香族アミンを網羅的に解説!

「アニリン」などの芳香族アミンは、
とっても面白い反応を起こします。

「単純な見た目のアニリンがこんな形に変化するんだ!」
と感動できる反応がいっぱいです。

しかしその分、
反応の複雑さから苦手意識を持っている受験生も多いです。

ここでは芳香族アミンについて網羅的に解説していきます。

ここの内容を最後まで読むことで、
芳香族アミンの反応を網羅的に頭に入れることができ、
「アニリンって面白い!」と思えるようになるでしょう。

アニリンって、
「これぞ有機化学の真髄!」
って感じでとても面白いんです。

できるだけ仕組みから丁寧に説明するので、
ぜひ最後まで読んでみてください。

芳香族アミンとは

芳香族アミン」とは、ベンゼン環にアミノ基-NH2が直接くっついた化合物です。

芳香族アミンを酸化させると独特の色を持つことが多く、
合成染料の原料として使われます。

世界初の合成染料モーベインも、
アニリンの酸化によって得られたのです。

このように色を扱う際には、
芳香族アミンの反応が大切になってくるのですね。

それでは芳香族アミンの製法や反応を、
確認していきましょう。

以下ではアニリンに注目してみていきます。

アニリンの製法

それではアニリンの製法を確認します。

アニリンを含む芳香族を考えるときには、
ベンゼン環をきちんと理解していることが必要不可欠です。

「π結合」「電子の雲」「陽イオンの攻撃」
などと言われてピンとこない場合は、
以下を先に読んでおきましょう。

ベンゼンの性質・反応を解説!

さて、ベンゼンは「電子の雲」を持っているので、
ベンゼンと反応したかったら陽イオンで攻撃する必要がありました。

しかし電気陰性度がN>Hであることからもわかるように、
Hが電子を持ち逃げした形のNH2+不安定すぎます。

だからこんな風に反応させることは不可能です。

よってアニリンを作るときは、
ベンゼンに窒素が付いている「ニトロベンゼン」を還元して作ります。

ニトロベンゼンのNの酸化数は+3
アニリンのNの酸化数は-3ですから、
以下のように反応させれば良さそうです。

ニトロベンゼンを還元する還元剤としては、
比較的安価に手に入るスズSnや鉄Feが用いられます。

スズの半反応式は以下の通り。

Sn→Sn4++4e

HCl酸性に注意して以上を組み合わせれば、
以下のような酸化還元反応でアニリンが手に入ります。

酸化還元反応は生成物さえ覚えておけば反応式を作れるのでしたね。不安な人は以下をチェック!
【合わせてチェック】
酸化還元反応の仕組みを酸化数から理解しよう!
酸化数の求め方!定義から丁寧に

アニリンの性質

アニリンはアンモニア同様弱酸性を示します。

これによって中和反応や弱塩基遊離などの反応を起こせます。

さらにアニリンの窒素の酸化数は-3で、
窒素の取りうる酸化数の中では最低です。

よってアニリンは酸化されやすいです。

これらの性質はすんなり納得できるのではないでしょうか。

それでは具体的な反応を見ていきましょう。

アニリンの反応

それではアニリンの反応を見ていきましょう。

アニリンの反応は、
①塩基としての反応
②アミド化(-NH2のエステル化)
③検出反応
④ジアゾ化・カップリング

です。

①塩基としての反応

通常の塩基で起こる反応が起こります。

アンモニアと見た目も変わらないので、
これは問題ないでしょう。

②アミド化(-NH2のエステル化)

カルボン酸の反応性の高さと、
アルコールの非共有電子対が出会って起こるのが「エステル化」でした。

【合わせてチェック】
エステル化・加水分解とは?仕組みから徹底解説!

アミド基-NH2は非共有電子対を持つため、
カルボン酸とエステル化のようなことができます。

これを「アミド化」と呼びます。

このようにアニリンと無水酢酸を反応させると、
アセトアニリド」と呼ばれる物質になります。

Q. ただの酢酸とは反応できない?
ただの酢酸のアミド化の反応性は無水酢酸よりも低く、中和反応の方が先に起こってしまいます。

③検出反応

性質のところで簡単に説明したように、
アニリンは酸化されやすいです。

これはアニリンのNの酸化数が-3であることと、
アミド基が非共有電子対を持っているからですね。

電子を欲しがっている酸化剤の格好の的になります。

さらし粉との呈色反応

(じぃの科学だいすきブログ|アニリンの反応(生徒実験)より)

さらし粉CaCl(ClO)・H2Oは、
次亜塩素酸由来の塩で酸化能力があります。

あまりに複雑なので仕組みは省略しますが、
以下のプソイドモーベインなどができることで赤紫色に呈色します・

世界初の合成染料「モーベイン」に似た構造ですね。

二クロム酸カリウムとの呈色反応

(なんとなく実験しています|有機化学の実験 アニリンブラックより)

ニクロム酸カリウムK2Cr2O7は、
非常に強い酸化剤として無機化学の分野でも登場しました。

そんなK2Cr2O7でアニリンを酸化すると、
以下のアニリンブラックができることで黒色に呈色します。

(実際には似た構造のものが混ざってできています。)

構造を見ればわかるように、アニリンからアニリンブラックができるまでには少し時間がかかります。試験管サイズでもニクロム線カリウムを入れてから数10秒待たないと色が変わりません。

④ジアゾ化・カップリング

最後にアニリン最大の反応である、
ジアゾカップリング」です。

ジアゾ化はアニリンで一番複雑な反応で、
芳香族アミン以外ではなかなか見ない反応です。

ジアゾカップリングについては、
以下で詳しく説明するのでそちらをチェックして見てください。

ほんとは簡単!?ジアゾ化・カップリングを解説!

カップリングによってできるR-N=N-R’の構造を持つ物質を「アゾ化合物」と呼びます。アゾ化合物は鮮やかな色を持つものが多く、染料として使えるため「アゾ染料」とも呼ばれています。

まとめ

今回はアニリンの解説でした。

アニリンは直接作ることは難しいため、
ニトロベンゼンを還元することで手に入れるのでした。

アニリンの反応は、
①塩基としての反応
②アミド化(-NH2のエステル化)
③検出反応
④ジアゾ化・カップリング

といろんな反応が起こるのですね。

アニリンからできる化合物は色彩豊かで、
見ていて飽きないです。

ぜひいろいろ調べて見てください。

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