電磁誘導の授業案がなかなか定まらない話。

電磁誘導の授業案がなかなか定まらない話。

こんにちは、山本です。
今日は最近迷ってることについて、
自分の頭をまとめるために書きます。

最近、電磁気の磁気分野の授業案について
少し迷っている部分があります。

それは電磁誘導とローレンツ力の立ち位置、
そして電磁誘導の定義文ですね。

これについて頭をまとめるため
軽く説明口調でまとめてみます。

電磁誘導の定義文問題

例えばよくある説明はこんな感じ。

電磁誘導(よくあるver)
磁界中にあるコイルが磁界の変化を受ける時に
コイルに起電力が発生する

もちろんこれでも十分なんですが、
やはりいくつか気になってしまう点があります。

まずは「コイル」と言っている点です。

例えば以下のような
磁場の中を導体棒が回転する問題
を考えてみてください。

(画像はここのやつ)

導体棒が回転してもコイルの磁場は変化しませんが
導体棒には誘導起電力が生じます。

つまり電磁誘導が起こるのはコイルだけではないわけです。

まあこれはよくある指摘で
wikiにもこのような説明があります。

この法則は、コイル等に関わらず任意のループ(閉曲線)に適用できる。
wiki「ファラデーの電磁誘導の法則」より

微分形のマクスウェル方程式で考えれば
この説明で全然理解できるかもしれませんが、
遠隔作用的な説明が多い高校物理では
なかなか受け入れられづらいのではないでしょうか。
(というか「近接作用的な説明が少ない」の方が正確?)

高校物理で扱う問題を網羅するように
電磁誘導の説明の文章を作ろうとするなら
コイルという言葉を使っては不十分です。

しかし任意の閉ループというと
より意味が伝わりづらい上に
考えなくていい疑問が生じる恐れがあります。

これに関しては超細かいので説明はしませんが、
例えば導体棒が磁場と垂直かつ磁場を横切らない場合などです。

まあ気になる場合は図示してみてください。

とにかく「コイルでは不十分問題」がありますね。

また以上の回転導体棒の問題を説明するために
以下のような表現をする場合もあります。

電磁誘導(ちょっとひねったver)
導体が磁界中を移動するとき
単位時間当たりに横切った磁束に比例する
起電力が生じる。

これは結構攻めた表現ですが、
かなりわかりやすいなと感じます。

「攻めた」というのは
上の文章はあくまで説明のための文章であって
電磁誘導の定義にするには雑すぎるということです。

閉ループの考え方をわかりやすく説明してますが
閉ループの考え方を十分反映しているわけではありません。

またこの表現の一番の問題点は
磁場が時間変化した場合が全く考慮されていない点です。

さすがにこれを定義文にすることはできません。

まあこんなところで説明が非常に難しいわけです。

電磁誘導とローレンツ力の関係

電磁誘導を説明するにあたって
ローレンツ力との繋がりを見ておくのが便利です。

先ほどの回転導体棒の問題でいうなら、
回転導体棒中の電荷は速度を持つことになり
ローレンツ力を受けます。

その結果、
先ほど載せた問題の例でいうならば
円の中心向きに電荷が移動することとなり
これが電磁誘導の起電力と一致します。

このように、
導体が磁場中を移動するパターンは
ローレンツ力によって説明することもできます。

これを意識しておくと
電磁誘導で考えづらい問題であっても考えやすいです。
(ファラデーのパラドックスあたりとかね)

しかしやはりこれだけで説明するのも
磁場の時間変化に対応できないという点から難しいですね。

ちなみに近年の研究で
量子力学的な観点から考えれば
電磁誘導とローレンツ力は統一的に考えることが可能
とのことです。

その研究がこちら。

なぜ「ファラデーの電磁誘導の法則」は2とおりの方法で導かれるのか?
ファインマンも解けなかった問題を解明 ~ファラデーの電磁誘導の法則とローレンツ力はなぜ同じ起電力を与えるのか~

本当にふわっというなら
電場と磁場をゲージポテンシャルで表現し
電子の運動を量子論的に(波動関数で)扱う
ことによって示したらしいです。

まあ細かいことはいいとして、
以上からわかることは
高校レベルで統一的に考えることは不可能
ということです。

いやー、この辺り、どうにかならんかなー。

「ときどきローレンツ力と一致する」
っていうのが一番構造的にわかりづらい。

ローレンツ力との関係を言う方がわかりやすいけど
いらない疑問を生んでしまう可能性もあるのは
なんとも難しいところです。

電磁誘導に関する考察まとめ

まあ事の発端は、
「コイル」という表現は避けたいけれど
閉ループでは混乱を与えるのではないか

というところです。

磁場の時間変化を無視すれば、
①単位時間当たりに横切った磁束に比例する起電力
②実はローレンツ力で考えた場合と一致
などで説明もできますが、
できれば同時に説明を与えたい
という僕の欲張りさもマイナスに働いています。

まあどこかで妥協しないといけないんだろうなー。

もしいい案がある講師の方などが読んでいたら
コメントなどをいただけると非常に嬉しいです。

最後に

普段勉強の記事を書くときに比べて
相当殴り書きで書いてしまったので
おそらくわかりにくい記事だったのではないでしょうか。

内容は難し目なのに殴り書きだから
受験生が見たら驚いてしまう記事だったかも。笑

まあ受験生はあまり気にしないでね。

とにかく、早いうちに動画は撮りたいので
どこかで妥協することになりますかねー。

今日はこのくらいにしておきましょう、
ではではー。

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